2017/10/13 (Fri) 饗屋さんにて、秋を歓ぶ


もうすぐ日本で思う存分、和食三昧、ハシゴ酒できるというのに、それでもこの階段を降りたくなってしまう、そんな罪な店、饗屋さん。なんだか最近はしょっちゅう一杯、いや一本やっておる気がするH師匠と今宵もご一緒に。


酒を挟むと阿吽の呼吸な私たち、本日のお酒は秋風に似合うさらりと清涼な喉越しの吉乃川といってみようか。


ご好意でいただいた前菜は、モンゴウイカのフライ、かんぱち、焼き松茸と昆布煮、フライドプランテンの自家製ツナディップ。どの味も慎ましやかに、しかしその食感と風味で豊かな個性を発揮する。ああ、これだけでお酒が一本空いてしまう…。


目にも美しきお造りは、しめ鯖、サンタバーバラの雲丹、まぐろにへだい、金目鯛、きびなご酢〆、生くらげ他。


師匠は松茸をご所望。焼き松茸と鱈場蟹の鬼おろし和え、なんと贅沢な、そして互いを打ち消さぬこれも阿吽の取り合わせ。師匠、私たちのようっすね。あ、松茸の香りを味わうのに夢中で聞いてない…。


茄子の鴨味噌田楽。味噌の中に隠れた鴨の非日常なる底力。舌の上でとろけさせれば、またも盃に手がのびる。


これ食べてみて、と園さんが出してくださったコレがうまい。舐めるだけでまた盃が…(楽園の永遠運動)。そしてこの極上の何かが何であったのか、失念…。たぶん何かの魚の何かだったと思うのだが。へべれけに記憶細胞なし。


もうこれを見過ごすことはできない体になってしまった。鮑の白トリュフコロッケ。鮑の舌触りをくるむトリュフの芳香、そんな秘宝がこの薄くからりと揚げられた衣の下に隠されているのである。


当然お酒もあいて、小ボトルを頼みながらの自家製真穴子の燻製。煙がしみこんだ穴子が歯の間で躍る。燻製隊活動も、日本から帰ってくる頃にはもうできなくなっておるなぁ…。
園さん、今宵も秋薫る味覚を、ご馳走様でした(あ、いつものヘン顔撮るの忘れた。笑)。

Kyoya
94 E 7th St New York, NY 10009

◆前回、饗屋さんにてところてん談義で盛り上がったときの記事は、こちら

◆今まで行った饗屋さんの記事は、右下の検索窓で「饗屋」と入れてもらうと、でてきますよん♪

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2017/09/18 (Mon) 青結寿司居酒屋


ご近所にあるのに、なぜかついその存在を忘れがちなブルーリボン寿司居酒屋。思いだすのは、何年か前に行ったときに枡酒を頼んだのだが、「あれ?もう飲んだっけ?」というぐらいに減りが早い。我ながら早すぎだよなー、てへっ、などと反省するも、しばらくしてカウンターが濡れそぼっていることに気づいた。な、なんと枡から酒が漏れていたのであった。穴あき枡の衝撃が強すぎて、脳内からここの存在をデリートしてしまったのじゃろうか。
だが、ある日ふいにメモリが復活し、出向いてみた。この提灯だらけの階段を上る時点で、気分もあがる…。どうして提灯にこうも弱いのか。人間の、いや、飲ん兵衛の本能見たり。


この店がうれしいのは、寿司も串焼きもあり、どちらのレベルも高いこと。さすがこの厳しいNYで成功しておるブルーリボンさん系列。牡蠣の元焼きはロイヤル・トランペットマッシュルームと蕪の葉入り味噌ホーランデーズソースが絶品。このソースをタッパーに詰めて(所帯じみた表現)家に持ち帰り、魚や貝に塗って焼きたいものである。
串焼きはビーフリブとガーリック、燻製豚バラとピクルド・オニオン、ロックシュリンプとクリスピーガーリック照り焼き。このぷりぷりのロックシュリンプが食べられるのがうれしいなぁ。以前あった天ぷらでもぜひ出してほしいものじゃ。


オンラインのメニューを見たときには寿司ネタの種類があまりなくて心配だった。見たところ日本人客は皆無だし、無難系なのだろうか…と危ぶんでいたのだが、メニューを見たら、その日のメニューには光りもの三昧、途端に暗い店内で目がらんらんと光る。秋刀魚にしめ鯖、しんこ、どれも大満足。北海道の雲丹も舌に甘い。ただひとつ、カナダ産筋子がどう見てもイクラだった気がするのだが、まぁどっちも好きだからいっか。黒龍の吟醸、勢いまして大行進。ちなみに枡は危険なので、グラスである(またそんな過去のことを根にもって!)。


活き帆立のお造り、新鮮な帆立があまくそよぐ磯の香りを連れてくる。


とろけるのどぐろ、金目鯛、ねぎハマチ巻きの、脂ぴちぴち柔肌トリオがまた色気で攻めてくる。


さくさくのソフトシェル・クラブが勢いよく飛び出したスパイダー巻き、よけいなタレがかかっていないのが老舗の寿司屋の心意気だろうか。最後にお勘定をお願いしたら、終始感じのよかった日本人サーバーの方が「牡蠣どうでしたか?」と。「すっごーくおいしかったです!」と本音で力をこめたら、「ああよかった」とすごくうれしそうな顔をしておられた。仕事が好きな人にサーブされて料理も幸せだのう。このお店、もっと日本人にウケてもよいんじゃなかろうか。
徒歩圏で来られる満足・寿司居酒屋。これからは脳内デリートをせずに、保存フォルダ(飲食店しか入っていないと思われるいやしんぼフォルダ)に、しかと入れておくこととしよう。

Blue Ribbon Sushi Izakaya
187 Orchard St, New York, NY 10002

◆以前来た時に、スパイシー胡瓜と椰子の芽きんぴらがお気に入りだった記事は、こちら

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2017/08/25 (Fri) Rikiにて米国健康保険問題を語りあう


本日は、RikiにてSット夫婦と居酒屋ごはん。Sットさんたちとは以前もこの店に来たのだが、「ここ、会社の近くだからランチによく来るんだよねー♪」と、寿司以外の和食だってお手のもんサっという顔をされていた。そして、〆のおにぎりがきた途端、海苔をほどいて掌でお皿状態にし、箸でご飯をつまんで食べるという斬新な食べ方を披露してくれたSットさんである。


さて、おつまみあれこれ。明太胡瓜が、スパイシーな鱈の卵をのせた胡瓜だと説明すると、奥様の顔がすこし不安げに曇ったのを私は見逃さなかったが、食べてみたら「おいしいっ」と。確かにこれは旨し。これだけ豊富に明太子をのせてくれるなんて…チューブから絞り出したみたいに見えるけど、ううん細かいことは気にしない、だってここはNY。


蟹カマじゃない蟹がのっているだけで得点の高い、スパイシー蟹サラダ。前回は皆のために1人ずつ小皿に取り分けたりするという日本人的気配りを見せてみた私だが、今回は「はい、各自とってねー」と皿を回すのみ。猫をかぶる、という言葉を日々体現して生きておるのである。このドレッシング、マヨネーズとスリラッチャソースと牛乳あたりで真似して作ってみようと思う、オオサキの蟹カマで。


気配りという窮屈な皮を脱ぎ捨てた日本人、誰も食べないとわかっていて己の欲のためだけにしめ鯖を頼む、の図。奥に見えるのは鴨わさび焼き、こちらは皆さんせっせと手を伸ばしておられた。柔らかの鴨の上の、何を混ぜておるのだろう、そう辛すぎず食べやすく工夫された山葵ソースが美味であった。


トントロ焼きにも、Rikiのシグニチャー山葵ソースが!もうすべての肉は山葵、しかも当店特製マイルドクリーミー・ワサビネーゼ(いま勝手に決めさせていただきました)でどうぞという方針かもしれない。とくと受けてたとう。
トントロの脂で皆の舌もなめらかになり、ここで「健康保険がどんどんと改悪、高額化していくことのおそろしさ」「クレジットカード詐欺、こんな目にあった」等の話題で一気に盛り上がる。似た条件下でおなじ体験をした人たちと「あるあるある」な怒りをシェアできることの嬉しさを各自噛みしめながら、暗い話をしておるのに皆、笑顔。ビールのピッチャーと巽蔵のボトルがどんどん空いていくのであった。このメンバーでなら洞窟で遭難生活送れそう…。お酒付きなら。


今日もSットさんの海苔皿お握り分解作戦が見られるだろうかと期待していたが、残念、寿司をご所望とのこと。しかし、何度も来ていながらRikiで寿司というのは初めて食べた気もするが、これがなかなか質コスパともによろしい。鮃昆布〆、というより昆布和えは皆に大うけだったし、一オーダーでいくらが二巻とは夢のよう(そこまで…どんなわびしい寿司生活を送っているのか)。
半個室だと落ち着けるし、ノーチップ制だし、Rikiさん、今宵もありがとう。

Riki
141 East 45th Street, New York, NY 10017

◆前回のSットさんがおにぎりを食された時の記事は、こちら

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2017/08/20 (Sun) 雨嵐の後は、Naokiにて懐石を


強烈な雨風で窓に取り付けたエアコンまわりから、ことごとく水漏れし始めた。ベランダ側の窓も普段は雨が入ってこないのに床びしょ濡れ。ぺーパータオルと新聞紙もって家中駆け回る。何かが…間違っておる、こんなに雨もりするとは。しかもベランダを見ると、ししとうさんたちが見事に雨に打たれて倒れそうー。小降りになった隙に慌てて支柱立てに奔走する(だから、苗が小さいうちからやっておけばいいものを)。
そんな日は雨漏りと格闘したご褒美に(その前に雨漏りしないようなんとかしたまえ)、チェルシーにオープンした和食店、NAOKIへと。
隠れ家のような階段を下りていくと、和の空間。しっとりとした店内から眺められる庭がまた趣がある。そう、この世界なのだ、私が欲しかったのは。新聞紙と雑巾もって家中バタバタと走り回る暮らしじゃなく…。


お店はコースのみで、テイスティング・コースは$80。これでもかと高騰していくマンハッタンの和食おまかせプライスを考えると、リーズナブルだのう。まずは写真を見て楽しみにしていた前菜の盛り合わせ、花籠でスタート。
とうもろこしの風味濃厚なもろこし豆腐、スウィートチリ・ソースでいただく春巻き、フィンガリング・ポテトの煮つけ、スパイシーな海老の天ぷら、グリルしたアスパラガスとベイビーキャロットに山葵バターソース、ケールの胡麻和え、茄子の味噌田楽、本マグロのたたきサラダ。
アメリカ人の客層を意識したのか、どれも濃いめのわかりやすい味付けなものの、素材の良さが際立ち、ひとつひとつ楽しめる。こういうものをちまちまつまみながら、冷酒をいただくのが何よりの幸せ、ああ心が平穏に戻っていく。とくに嵐の後は…(相当疲れたらしい)。


しかしここで事件発生。あら綺麗と食べた花の素揚げ、隊長が「うん旨い」と普通に食べたので油断しておったら、すごーーく苦手な味だった!にっ、苦い!青臭っ!これは果たして本当に食べ物なのか!?という味に衝撃を受ける。セリ苦手、春菊セロリは昔は食べられなかった身には緑臭い香りが強すぎて、一瞬口のなかに騒動が勃発。ああ、まさかこんな至難が待ち受けていたとは。ぺっぺっぺっ(ご、ごめんなさい…)。


しかと気を持ち直し、帆立、海老、雲丹にトリュフオイルのアクセントが効いたまろやかな蕎麦リゾットで口内を平穏に戻したのじゃった。


新鮮なお造りは舌に海の甘さを運んでくる。はっ、よく見るとここにも食用花が…。もちろん触らないでおく。人は学ぶ生き物だ。


主菜には銀鱈の西京焼きを。ちなみに他のチョイスは鴨の胸肉のクレメンタイン照り焼きソース、すきやき、そしてA5ランクの和牛すきやき($20追加)。甘辛味が多いので、鴨が別の味付けだったりしたら、そちらも食べてみたかったのだが。しかし脂ののった銀鱈はほろりと口でほどけ、嬉しいはじかみなども添えられて、大満足。


最後は寿司とみそ汁で。和州牛のたたきはペルーのアンティクーチョ・ソースで。たっぷりの鰻に、中トロ。光り物チョイスは…ないのね、そうだよね、でも柔らかな牛の旨みに寿司飯、うんこれもあう。
チェルシーで楽しく食べられる和食、次は食に煩いアメリカ人の友人夫婦を誘ってまたこよう。つぎは、花は、食べない。もしくはいきなり口に入れずに花びら一枚から試すこと(本日の教訓)。

Naoki
311 W 17th St, New York, NY 10011

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2017/07/21 (Fri) 「In the Box 2」 と焼き鳥


本日はラ・ママ・シアターにて折原美樹さんのダンスと大江千里さんのオリジナル・ミュージックと演奏による「In the Box 2」を鑑賞。歴史的な建物を眺めていたら通りに座っていた謎の日本人のおじさん(?)が、この通りは昔は目抜き通りだったこと、だから今も劇場が多いことなどを教えてくれた…。ほうほう。
この「In the Box 2」、肉体とテクノロジーが生み出す新しい表現の実験コラボというだけあって、様々な試みが次々と繰り広げられ、ステージから片時も目が離せない! 
折原さんの美しくしなやかな肉体の動きと、千里くんのリリカルな音楽。そして舞台映像演出スペシャリストの西山裕之さんによる映像と三位一体の舞台は、箱の中に宇宙が広がりそれが彼方へと拡張していくイメージ。
5月に見た千里くんのソロ・ライブとはまた全然違う新たな世界へとトリップさせてもらえたのじゃった。ああ面白かった。


さて、視覚と音楽の冒険を楽しませてもらった後は、味覚もほしいよね、ということでOh!大将に移動し、焼き鳥&ビール&酒ナイト。ビール酒豪が3人もいるのでばかでかいピッチャーがあっという間に消費されていくのを唖然と眺めつつ、私とHちゃんは冷酒を啜る。博多風焼き鳥はキャベツもたっぷりなのが嬉しいのう。


鴨ロースに、


お好み焼き。この他にもあれこれ頼んだ気がするけれど、笑いすぎてあまり覚えていないのだった。
「自分をフランス人だと思い込んでいるYちゃん夫(純日本人)」の話がツボに入りすぎ、皆していかようにどんな時にフランス人なのかを聞きまくった。
私も心はカリビアン…いやニューオリンズ…いや高円寺アン…。とりあえず一番長く住んでおるのにニューヨーカーではない気がするのは何ゆえか。

Oh! Taisho
9 St Marks Pl, New York, NY 10003

La MaMa Theatre
66 East 4th St New York, NY 10003

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野中ともそ tomoso nonaka

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大江千里さんとの対談掲載されました。
小説すばるにて連載エッセイ始まりました。
新刊『虹の巣』出ました。(2016)


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クロワッサンに書評載りました。
小説すばるに短編「金の雪」載りました。
小説すばるに、短編「スカ」載りました。
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クロワッサンに寄稿しました。
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JAL skywardに寄稿しました。

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