2017/07/17 (Mon) 美術館の後は、ギリシャ料理


日本から出張途中にNYに立ち寄った映像作家の友人とメトロポリタン美術館と待ち合わせ、じっくりアーヴィング・ペン展を鑑賞し、あまりにのめりこみすぎたせいでその後の川久保玲展が駆け足になってしもうた…というような話を書こうと思ったのだが。そうだ、小説すばるの連載エッセイにまず書いてみようかと思い、それまでは出さない方がいいかのう、とセコいネタキープのようなことを考える。
まぁ実際だ~れもそんなこと気にしちゃおらぬだろうが、まずは美術館後の晩ごはんのことなどを。その友人Sくんを誘ってミッドタウン・ウェストのギリシャ料理店へ。あれ、ここはウーゾを飲ませるOuzariaとレストランが隣接していたのだが、いつの間にか1店に併合されておる…。どこもかしこも地価高騰で大変そうだなぁ。


ギリシャ料理は馴染みがないという彼のために、まずはこれさえおさえておけばワインが進むよ4種のディップを。
ヨーグルトににんにくと胡瓜の風味を効かせたザジキ、にんにくたっぷりポテトのペーストが美味しいスコーダリア、茄子をペーストにしたメリジャノサラタ、おなじみクリーミーな魚卵のディップ、タラモサラタ。
Sくんとは大学のバンド・サークル時代からの気のおけない仲なのであれこれ話も弾みつつ、ディップをのせたピタをつまみにワインを飲めば、ああ幸せ。今日はアートだけれど、皆で出かけたコンサートや学祭ライブの後に何度こうしてお酒を酌み交わしたことかのう。はっきり言って数えられないほどだ(お酒とイベントが対になっておる証拠)。


Hortaなる野菜をメニューに見つけ、「これはどんな感じの野菜ですか?」と訊いたところ、「ギリシャの…野菜」ととーっても大雑把な答えしか返ってこないので、逆に興味をそそられ頼んでみる。クセがなくクタっとして、なんとも形容のしがたい野菜であった。とりあえずレモンと塩かけて、暑い日にはビタミン摂取。


Maridaki Pireotiko、さっくり揚がった公魚のフライ。レモンをたっぷり絞って口に入れれば小さな一片に集結された魚の旨みがあふれ出す。小さな魚を丸ごといただく喜び、ひしひしと噛みしめ味わった。が、大量にあって減らないので、のこりはお持ち帰りに。


Glycadakiaは、ここに来たら必ず頼む仔牛の胸腺スイートブレッド。レバーよりも穏やかで、肉とも違う独特の食感、本当にスイートで美味しいのう。
今日は展示を観ながら写真のこと色々教えてくれてありがとう。おかげですごく深く楽しめましたん。また秋の下北沢でねー、と手を振って友人と別れた後は、いそいそと公魚ぶら下げ、地下鉄へ。

Uncle Nick's
747 9th Ave, New York, NY 10019

◆Ouzaria時代に来ただいぶ前の記事は、こちら
ひとりで鰯4匹も食べておる…。

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2017/07/05 (Wed) 今年は来れたよニシンまつり


グランドセントラル駅の長く美しいトンネル、ダイニング・コンコースをいそいそと抜けて、


オイスター・バーへと。この時期のオイスター・バーといえばもちろん年に一度のお楽しみ、ヘリング・フェスティバルじゃ。6月の2週間だけ新鮮なオランダ初物ニシンNieuwe Maatjes Herring Filetが供されるのである。「鰊来たら教えるよー」のメーリング・リストにもぬかりなく登録しておるのだが、なんと去年はその連絡も来ず、オイスター・バーのHPも更新されなかったため、うっかり逃してしまった。悔恨の念でよよとむせび泣いたのは言うまでもない…。
そんな貴重な初ニシン、オランダ人は写真みたいにぺろーんとかぶりつくらしいけれど、とてもそんな大胆な真似はできませぬ。


例によって、特設ニシンコーナーを作って盛り上げんとするオイスターバーの心意気とは裏腹に、周りであまり頼んでいる人はいない。普通は何はともあれ、生牡蠣が運ばれてくるのにウェイターが「牡蠣は大人気で開けるのが間に合わないので、先に他の物をお出ししていいでしょうか」とさっとニシンを出してきた。人気…ないのかニシン!? ねぎらうように、2尾頼んだ上に持ち帰りの2尾も頼んだ。
さて、このニシン、脂のノリといい、滑らかにねっとりと舌にからみつく鰊の風合いといい、本当に旨し。はるばるニューヨークまで来てくれて本当にありがとう、オランダの海を悠々と泳いでいた若きニシンよ。
さらし玉ねぎにゆで卵、チャイブを丁寧にまとわせ、最後に持参した黒七味をぱらり。白ワインを一口。そしてまたニシン。延々とこの快楽の海を泳いでいられる。


お伴には、かりっと揚がったフレンチフライに、


苦みの中に甘さがしみてくるケールの若芽のロリポップという名の炒め。なにごとも若い味は清々しい。


むろん貝だってはずせない。軍手をして懸命に牡蠣を開け続けておる人がこのレストランのどこかにいるんだのう。ありがとうと感謝しつつ、本日選んだのはコネチカット州コップス・アイランドのブルーポイント、マサチューセツツのアイランド・クリークとウェルフリート、ロングアイランドのシネコック。


ロングアイランド・サウンドのチェリーストーンのぷりりとした実を噛めば、喉元を瑞々しい潮がくだっていく。
お土産のニシン二尾を大切に胸に抱き、地下鉄にゆられ帰ったのであった。ふっふっ、誰も私がニシンを抱きしめておるとは思わぬだろう。これぞNYニシン愛。

Grand Central Oyster Bar & Restaurant
Grand Central Terminal, 89E. 42nd St, New York, NY10017

◆2015年の去年のオイスターバーのニシンまつりの記事は、こちら

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2017/07/04 (Tue) 久々のバスタ・パスタ


MoMAにてフランク・ロイド・ライトの建築とアートの世界を堪能した後は、久々のバスタ・パスタへ。ここは1985年から2000年まで原宿にあったあの伝説のレストランのNY支店。今はもう原宿の店はなくなってしまったけれど、ここは変わらず賑わっている。時おり食べたくなる日本人のつくる繊細イタリアン、ぜひ末永く続けてほしいものじゃ。


いい作品を鑑賞した後は、冷えた白ワインが旨し。あと仕事のあとも。仕事してなくても。数ブロックしか歩かない散歩の後も。そう、お酒が美味しいのは健康のバロメーターよのう(体のいい自己肯定…)。サービスで出てくるマスカルポーネのトーストがまたよろしい相性で。


Calamari Alla Griglia グリルしたスタッフド・カラマリは、柔らかなイカとカレー風味のリゾットを詰めた自家製ソーセージ、ゴールデン・レーズンとピスタチオ、プロシュートという粋な顔合わせ。


Bagna Cauda、好物のバーニャカウダは必ず頼むのだが、特にこの店のソースがわたくし的にはツボ。クリーミィさ、にんにくとアンチョビの加減、このソースだけでもお持ち帰りしたい。このソースがあれば嫌いな生人参も食べられる、と思うもそれはない(そこは冷静か)。


Linguine Ai Ricci Di Mare、バジルとクリーミーなピンクソースでいただく雲丹のパスタ。たぶん過去記事検索しても、毎回これとバーニャカウダで変わりなき黄金の選択なのである。イカ墨パスタのイカ墨がパスタに練りこんであるだけでなくソースにも入っていたら、また話は別なのじゃが。バスタ・パスタさん、そのバージョンもお願いします。ああ、でもそうしたら迷うなぁ…。
ところで、いつもふんだんに雲丹が使われているので、「どこ産の雲丹ですか?」と訊いたところ、チリ産だそうで。「さすがに日本からの雲丹はこんなにたっぷり使えません」と正直なサーバーさんがキリリとした笑顔でおっしゃった。でも軽やかで甘いチリの雲丹も、うん、パスタのソースには断然美味しい。


隊長はCotoletta Di Vitello Alla Milanese 、ミラノ風仔牛のカツレツ、クラッシュしたハーブポテトとヘアルームトマト…のはずなのだが。
ここでお店の名誉のために言っておこう…。実際のカツレツはこんなふうに、シンプルドッカーン、という様相ではないはずである。多分、綺麗に切られたヘアルームトマトが散らしてあったりして、見目にも鮮やかなはずなのだ。しかしトマトが苦手な隊長、「トマトなしで」とお願いしてしまったために、このようなザ・素朴!なお皿になったのだった。まぁ細かなブレッディングといい、揚げ具合といい、十分お気に召したようだが。
よく考えたら、サイドでトマトをいただいてもらえばよかった。などと、セコい後悔を抱きながら満足で店を出たのだった。よし今度(っていつ)この店の理想に掲げつつ、バーニャカウダに挑戦してみようか…。

Basta Pasta
37 W 17th St, New York, NY 10011

◆前回来たときの記事は、こちら

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2017/05/29 (Mon) 贅沢キャビア・ナイト


たま~の、たま~の、たまぁぁ~の(強調しすぎで声枯れそう)贅沢、黒々と輝く魚卵を食そうではないか、とフラットアイロン地区へ。なぜだかタイル屋さんの多い通りを歩くと、遠目からも鮮やかな花々で彩られた愛らしい店が目につく。
ずいぶんと前にロシアのお洒落友人に教わって以来のお気に入りロシア料理店、Mari Vannaさんじゃ。ロシアン手下を連れて行ったらきっと「かー、俺には似合わないっニハラショーっ」とブライトンビーチ辺りの食堂に逃げ込みそうな、おされな店構えの店内にはアンティークも一杯。じっくり見て回りたい。が、既に混んでいる店内、お客の邪魔になりそうなので諦める。
そして席に着くなり出てくるのはパンに2種のバター、そしてネギ。1本丸ごとのネギ。う、うむ、ワイルドな中にロシア流の粋が潜む…のだろう、きっと。


ロシアのビール、バルチックNo3 。他の番号もあるんですよ、と説明してくれるハンサムなサーバーくんだが、ビール苦手な我にはその番号の意味を問う気概なし…。きっとバルト海の息吹を感じさせるビールなんだろうね(興味がないと適当か)と受け流し、きりっと冷えた白ワインを。


そして燦然と輝く黒い宝石、オセトラのキャビアが恭しく登場。


柔らかなブリニを掌の上で開き、濃厚なクリームフレッシュをひと塗り、さらし玉ねぎ、卵の上にキャビアをそっとのせ、包み込む。口に入れた瞬間に広がる無数の命の輝きをくるみこんだかのような濃厚な味わい。あらっ、もうおしまい? 至福の時は短いからこそ濃いのだろう。


しかしまだまだお楽しみは続くのじゃ。鰊好きが避けて通れるはずもない、Cured
Herringを独り占め。マリネされた鰊に玉ねぎをのせ、じゃがいも、ライ麦パンと味わえば、北の魚の脂がまったりと舌を撫でる。ああ、ロシア行きたいなぁ。3日坊主で諦めたロシア語の勉強また始めようかのう。


Golubtzi はロシアのロールキャベツ。仔牛のひき肉と米、じっくりブレイズされた野菜がキャベツに包まれ、品のいいスープにとろける。すべての優しい味わいに、新鮮なディルが香りを添える。ロシア料理に欠かせぬディルの役割をいま鮮やかに知らされた気がするのう。


これもあれば絶対頼んでしまうChicken Tapaka。下味をつけた鶏肉を上から重石でぎゅーーっと抑えながら焼き付ける、コーカサス地方の料理だ。押されて、押されて、身をいっそう引き締めた鶏の香ばしい味わい。でも贅沢を言えば、にんにくの効いた味はいいのだが、押しが足りない気もするのう。色んなロシア料理店でこれを食べたけれど、一等賞はロシア人友の結婚式に招かれた時のパーティー会場だったなぁ、と懐かしく思い出す。そう、人間もチキンタバカも押し、大事。と、押しの弱い我は思うのだった。
さて、輝く黒い宝石、次はいつ食べられるだろうか。贅沢は続けば贅沢でなくなる(ま、負け惜しみ…じゃないよ)。果報は寝て待とう。

Mari Vanna
41 E 20th St. New York, NY 10003

◆5年まえの懐かしい記事は、こちら
やっぱりネギ1本にこだわっている私…。

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2017/05/21 (Sun) 対談後の一杯(のはずが…)


我が家で対談と撮影の後、皆してご近所のフレンチビストロ、アンファン・ボエムへ。楽しくもやや緊張のひと時を終えた後のワインがしみじみ旨し。って、対談中から飲んでたのはナイショ。
Camembert Rôti、蜂蜜とアーモンドと共にローストしたとろっとろなカマンベールに、


Warm Artichoke Dip、バタートーストが止まらぬアーティチョークのディップ。
表面香ばしく、フォークを入れればわずかに酸味と独特の香りを抱いた熱々のディップがとろけだす。私はこの野菜のレイヤー感だけが好きなのかと思っていたが、そんなことはない。いま悟る。うまい野菜はその身をよよと崩してベシャメルソースに溺れても、なおうまいのじゃと。


Boeuf Carottes Façon Grandmère、オーナーさんのおばあちゃまのレシピなのだとか。じっくりとブレイズしたショートリブはほろほろと崩れる柔らかさ。煮詰めた赤ワインのソースで。人参嫌いの私でも、このローストされた人参は甘くおいしくいただけた。対談相手のSくんも「うまいっっ」の連続で、よかったよかった。
ということで、どなたとの対談かは、6月17日発売の小説すばる7月号をお楽しみに、うっふふ(といいつつ、一部ではご本人がすでにバラしておるが。汗)。

Les Enfants de Boheme
177 Henry St. New York, NY 10002

◆以前来たときに、これまた絶品のフォアグラのムースを食べておる記事は、こちら

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大江千里さんとの対談掲載されました。
小説すばるにて連載エッセイ始まりました。
新刊『虹の巣』出ました。(2016)


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クロワッサンに書評載りました。
小説すばるに短編「金の雪」載りました。
小説すばるに、短編「スカ」載りました。
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JAL skywardに寄稿しました。

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