2014/07/30 (Wed) アップルソング


友人の作家、小手鞠るいさんが、北の森(おなじNY州でも彼女は北~のほうに住んでおるのだ)から送ってくれた『アップルソング』。いつものように、あたたかな言葉の添えられたカードとともに。
かなりまえに読み始めていたのだけど、緊急入院→シジツ~のすったもんだの痛い日々があったもんで、ようやく読了。すりすりと涙の跡をぬぐって、最後のページを名残り惜しくぱたんと閉じた…。
いつものるいさんの甘く切ない恋愛小説とは異なり、いやそれもむろん内包されているのだけれど、テーマは戦争と平和。人間の罪と罰。もうずいぶんと前、るいさんとマンハッタンで会った際にこの物語の構想を聞かせてもらって、早く読みたいっ!とわくわくしたことを思い出す。
日本から移民してきた少女がニューヨークを舞台に繰り広げる壮大な物語。ああ、あの時のお話がこんな風に果てなくふくらんでいったんだ、と思いながら、頁を繰る手がとまらなかった。

なんて哀しい。重い。強い。美しい。
第二次世界大戦末期、焼け跡から助け出された赤ん坊赤ん坊、茉莉江が報道写真家として生きたその流転の人生。そして一大叙事詩のごとき物語にもかかわらず、日本とアメリカ、そして世界で起きた歴史的大事件をたどる貴重な手引き書にもなっている。歴史に疎すぎる私には、いい勉強にもなったのう。
こんなふうに人を愛し、自分だけでなく他者を信じて生きる人間だけでこの世が成り立っていたら、いまも繰り返されている愚かな闘いはなくなりはしないだろうか…。毎日否応なしに飛び込んでくる戦火の報道に暗澹たる気持ちになりながら、この本に感じたような降り注ぐ光をどうか多くの人に、地に、と願うのだった。

アップルソング小手鞠るい
ポプラ社 2014.5発売 
◆おなじくるいさんの『美しい心臓』を読んだ感想の記事は、こちら

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北方領土より、愛をこめて。 

ともそん様 大変な目に遭われているときに、このぶあつい本を読んで下さって、ありがとう! 野中さんの涙のあとに、思わず頬ずりしたくなりましたよ(迷惑だよね?)。そう、私もなつかしく思い出しています。確か、五十丁目くらいにある和食店で、野中さんは牡蠣フライ定食を、私はお寿司の盛り合わせランチを食べながら、この作品の構想について話を聞いてもらったのでした。「主人公は、10歳くらいのとき船でアメリカに渡ってきて・・・」と話すと、野中さんはすぐに「それなら、テナメント街を取材するといいよ」とアドバイスをして下さったのでした。降り注ぐ光を感じていただけて、とても嬉しいです。私も、野中さんの『銀河を、木の葉のボートで』を読み返しては「希望の光」を感じています。ありがとう! そして、これからも、よろしくね。北のるいるいより

2014/07/31 06:56 | 小手鞠るいるい [ 編集 ]


小手鞠るいるいさん★ 

きゃー、るいさん、コメント嬉しいですっ。
この本は騒ぎの前から読み始めて、でもその合間に本当に苦しくて痛いことを挟んだからこそ(挟みたくはなかったけれど。笑)いっそう「命」の重さが胸にずしりと響いた気がします。9.11の章はじつは読み始めは辛く、でもだからこそ読んでよかった!と本当に思えたよ…ありがとう。こちらこそ、これからもよろしくです。

そして~さすがの作家の記憶力! 
そうそう、「清水」でお寿司に牡蠣フライ!わーん、懐かしい、また早く上京…いや南下してきてくださーい!

2014/07/31 21:04 | ともそん [ 編集 ]


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