2016/11/13 (Sun) 鮑が踊り、黒鯛は輝く


宿の方々と顔をあわせるたびに「もうお具合はよろしいのですか?」「お父様、大丈夫ですか?」などと声をかけてくださり、平身低頭のノナカ家であるが、その際の皆さんの心遣いが嬉しい。「大変でしたねー」という大仰さより、「あるよね、うんうん」という雰囲気なのである。これがけっこう救われる。
フロントの男性など、気さくな様子で「こういう気候の時はあるんですよねー。僕も親父が同じような年なのでわかるけどね。あまり大げさにせずにあくまで普通に過ごしていれば大丈夫」と、こちらの気持ちを軽くするようなことを言ってくださるのである。あったかくていい宿だのう、来年もここにしよう、もし来れれば…(ふいに降りくる弱気)。しかしまた同じような迷惑はかけられまい…。
ということで2日目の晩餐、用心して父は晩酌を自粛。娘は、呑む…ごめんねとーさん、と呑む。
口取り八寸は、甘長海老新薯射込み、青芋茎含ませ、姫さざえ旨煮、和牛叩きサラダ巻き、焼き茄子びんろう、尽太唐揚げ、水蛸唐揚げ。
この豊かな皿だけで一合があいてしまいそうじゃ。が、両親の手前、というよりは自分のリミットを知るがゆえ、ゆるゆると。大人は臆病なものよ。


向附けは、黒鯛薄造り。小田原漁港で水揚げされた黒鯛が、口のなかでイキのよさを主張する。白ぽん酢と、山葵塩、交互に楽しみながら。


先吸椀に、名残り鱧葛打ち。松茸、紅景麩、アスパラガスの青味、落とし梅肉に青柚子の香り。


主菜は、活鮑の踊焼きバター風味。「踊っているところを見たければ、ちらとフタを開けてみてくださいね」といわれ、もちろん開けますともな娘、「いやー」と叫ぶ母。熱々を切って口に入れれば、この弾力、潮のうねり、こちらの舌も踊る。


蒸物は、海老と帆立の茶碗蒸し。この宿のお出汁はほとほとと旨いのう。


揚げ物に、無花果の天婦羅、青味に茗荷。天出し汁と桃色岩塩で。無花果の天婦羅、初めて食べたけれどさくりとした衣の下の甘さが新鮮。うちのいちじくさんでは、勿体なくてできぬ味(収穫1個のために天婦羅、ムリムリ)。


炊き合わせには、白身魚の西京煮。蕪、スナップエンドウ、紅景人参、木の芽と。こしひかりのご飯に、この甘い味噌がなんとも合うのであった。


甘味には、黒糖アイス、メロン、幸水、スチューベン、柿、ミルクレープショコラ、枝豆ずんだ餅。…スチューベンという葡萄があることを知った十五の夜(さば読みすぎ)。
昨日のトラウマがあるので、また何か起こるのではないかとひやひやしたけれど、一度あることは二度なかった、ということで昨日のことなども笑いをまじえ語りながらの晩餐となった。今宵もご馳走様でした。

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